“移動販売で九州から全国へ笑顔と元気を届ける”を理念に、2019年から活動されている 九州ケータリング協会(佐賀市)。新型コロナウイルス感染症の拡大で落ち込む産業と消費者を結び、人々や地域経済が活力を取り戻すべく尽力されています。モラージュ佐賀に位置する事務所を訪ね、代表理事の中島さんにお会いしました。

「現場を待つのではなく、現場をつくる」

2020年、コロナ禍で冷え込む私たちの消費行動は、多くの産業にダメージを与えました。日本中で自粛が叫ばれるなか、飲食店がテイクアウトやデリバリーに動き出したのは大きな変革期の到来と言えます。しかし、すべての事業者が行動できるわけではありません。

一口に飲食店といっても千差万別、業態転換は資金やノウハウ、精神力を必要とします。そんな中「コロナで困っている飲食店に現場を提供したい」と中島さんはキッチンカーを使った企画を次々と打ち出していきました。

―――全国初、ドライブスルーテイクアウト。

会場に車で入ると、スタッフさんがオーダーを聞きにきてくれ、そこに集まった店舗のすべてを一緒に購入できるシステム。接触を最小限に抑え、店舗従業員とお客さんの両方を守りながら実現させたイベントは、大好評でメディアに取り上げられ話題となりました。企画会社の代表という肩書を併せ持つ中島さんならではの発想と行動力です。

コロナ禍に苦しむ飲食店に「待っているより外に出ていく活動が必要」と教えられているそう。

同様のイベントは佐賀市のほか鹿島市や江北町、福岡県でも成功し、参加した店舗に多大な売上をもたらしました。その売上から入る運営費をさらに寄付へまわすというから驚きです。

中島さん自身もテント出店やキッチンカーの販売を経験され、多くのイベントに店舗として参加してきました。

ケータリングを活性化するには「仲間がいないと何もできない」と、生まれたのが九州ケータリング協会です。その活動の根っこには、飲食店だけに限らず”困っている人を助けたい”という思いがあります。「若い頃はやんちゃでした。今は皆さんに恩返しがしたい。納税もしたいし、高齢者の方に感謝。元気を与えたいですね」と中島さん。取材中は終始、明るく溌剌とした口調でお話しくださりました。

2019年、各地に被害を与えた九州北部豪雨が発生し、中島さんは被災地へ炊き出しに駆け付けました。そこで目の当たりにした現状と、出会った人々。ある高齢者の方に「あったかいものがあると涙が出る」と感謝されたことは、今も中島さんの記憶に焼き付いています。

きっと災害で失われた大切なものは数えきれないほどあって、それでも、家はいつか建て直すことができるし、洋服はいつか買うことができる。だけど、食事は”いつか”じゃいけない。今、食べないといけない。当たり前にやってくるはずの明日のことが考えられなくなったその時、口にした食事の温もりはするすると喉元を通り抜け、どれだけ優しく心を包みこんだことでしょう。

逼迫した被災地を見た中島さんは「”食”で少しでも不安を取り除きたい」と思ったそうです。

この時、九州ケータリング協会では被災者支援を第一に考え、被災地でメディアからの取材を一切受けず、手を止めることなく炊き出しの列に応じました。ライフラインが停止しても稼働できるキッチンカーの利点が活かされた災害支援活動。現在、中島さんは佐賀県と災害派遣協定締結を進めています。

“ケータリング”という言葉に含まれた『要求に応える』という意味のとおり、料理の提供を通じて人々に安心を与え、笑顔と元気をもたらしている九州ケータリング協会。コロナ禍に苦しむ飲食店に「相談してほしい」と呼びかける中島さんは、自身もテナントの撤退した商業施設のために新規出店するなど、経済をまわすことを強く意識しています。

「赤字でもいいんです。元気が伝わればいい」

そのメッセージは力強く、聞いただけで元気の出る取材スタッフでした。

3月6・7日、佐賀市内で体験型スタンプラリーを開催すると伺いました。

「中心街で子どもを見なくなった」と話す中島さんが仕掛ける「中央通り活性化プロジェクト・絆」の一環で、長く我慢してきた子どもたちや大人たちに、春の訪れを告げるイベントになるはず。どうぞご家族でお出かけください。