事業指定-基山エリア支援コロナ対策基金-2020/2022
CSO持続支援金 他

「基山フューチャーセンターラボ」は、佐賀県基山町にあるコミュニティスペースで、地域を自分ごととして考え、対話するための場として2015年から在り続けています。

取り組みの1つには、人と人との対話を通して街が変化することを目指し、様々な著名人を招いて学びを広める「まちゼミ」の実施をしています。

今回は「基山フューチャーセンターラボ」の在り方や、場で大事にしていることについて、代表理事の鷲尾依子さん(以下、鷲尾さん)や会員の皆さん(橋本さん、久保山さん)に話を聞きました。

◇未来に向けた市民参加の街づくりの場としての「フューチャーセンター」

「フューチャーセンター」という言葉を知っているでしょうか。フューチャーセンターは、北欧諸国において「知的資本」を生み出すための「場」として提唱されたのが根源なのだそう。

日本では、不確実性の高い時代に社会をどのように作っていくのかについて、企業や公的機関をはじめ、街づくりの現場でも注目されている方法論の1つとなっています。

そんなフューチャーセンターの概念を場づくりに取り入れようと思った発端はひょんなことからでした。

約10年前、鷲尾さんは外部講師を招いて学びを深める、とある企業の研修に参加していました。しかし、当時受けていた研修はその年度で終了。

そんな時、誰もが街に暮らしながら学びを深めたり広げることができれば、と思ったのだそう。

幸いにも同じような思いを持つ方たちが周囲にもいたことから、様々な人と人が出会うことによって、街に変化を生み出すことができるような場が作れないか、と今の構想に至ったといいます。

「基山フューチャーセンターラボ」は、まさにフューチャーセンターの取り組みを参考にしながら、まるで実験のように様々な挑戦を日々重ねている場になっています。

誰でも出入りすることのできる、カフェのようなものを想像していると、会員である久保山さんは、この場のことを「緩やかに閉じている場」と表現します。

カフェや公共施設のように「誰でもどうぞ」と常に開かれている在り方とは異なり、来る人の心にある思いや志しのようなものを前提に、その都度受け入れていくような場所であることを感じます。

◇コロナが変えた街の生活様式

ここは、来る人たちが自由に学んだり活動をしたりすることを大事にしている場所。

そのため、大きな助成金や事業に頼ったものではなく会員費やふるさと納税などの資金で運営をしています。特に定期的に開催をしている、「まちラボ」の取り組みは、「学びをやめない」ためにクリエイティブな著名人を毎回誘致していることから、多くの人が集まるきっかけとなっていました。

会員であれば参加費用が割引かれることもあって、一定の会員数がいたのだそう。しかしコロナの感染拡大を期に、まちラボが中止に(現在は再開)。会員数もぐっと減ってしまったといいます。

それでも、運営を継続するために助成金を活用して街に在り続けたことによって、そのような時でも高校生や若者を中心に多様な世代が集まる場になっています。

「若い人たちの成長を見守っているとね、サードプレイスだなと思うんです。特に何かを教えたりするわけではなくて。”おかえり”って声をかけるの。寧ろ一緒に学んでいますよ。」と朗らかに笑う皆さん。

街の人たちは、皆さんに話を聞いてほしくて、集まっているのでしょう。

◇人と人が交わることで学びや変化を生み出していきたい

そもそも、立ち上げた皆さんの学びたい気持ちからスタートしたこの場所。

学ぶことは生きる上で、エネルギーを使うものであることでもあるように思います。

人と人が交じりあうことが未だに憚られることもある中で、一体どのような気持ちでこの場にいるのでしょうか。代表の鷲尾さんはこのように話します。

「そんなに、肩に力を入れて学ぼうとしているわけではないの。知らないことを知ることが楽しいから。」

学びによって大きな成果や指標を描こうとするのではなく、純粋に面白がる在り方が根底に絶えず流れていることを感じます。

それは日常の先に、少し新しい風を入れるようなイメージかもしれません。

そんな皆さんが、これからの未来に向けて大事にされたいことは、面白いと思えるかどうかで判断をしていく、ということなんだとか。また、それは自分たちだけではなく、周りの人たちにとっても面白がれているかどうか、ということだと言います。

「場に居続けていると種まきをしているような感覚はあって、当時のこどもたちや関わってくれている人たちが記憶の中で、この場所を指針にしてくれるといいなと思っているの。」と伝える皆さん。

面白いと感じる瞬間が、この場とその人を繋げてきているからこそ大事にされている考えなのかもしれません。

これからも、ここでは人と人が交わりあい、学びや変化が生まれていく。そんな風景を想像すると、いつまでも「ただいま」「おかえり」の声が続く状態であってほしいなと願いたくなるのは私だけでしょうか。

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