みやき町の自然豊かな高台に位置する”四季彩の丘みやき”。晴れた日は遠く雲仙まで望むことができるこの場所に、 Npo法人『きゃんどるハート』

の運営する みやき町産前産後サポートステーションは位置しています。

出迎えてくださった理事長の永瀬さんは、ストレスケアカウンセラーとして豊富なキャリアを持ち、各地で講演や研修を実施されてきました。その視線は常に、子育てに取り組む母親たちへと向けられています。理念は「子どものしあわせは、母親の笑顔から」。

2015年、みやき町より委託を受けて開設した産前産後サポートステーション。行政と民間が一緒になってつくる産後ケア施設は、全国的にめずらしいと言います。人口減少・少子高齢化の時代、各地域ではさまざまな施策が行われていますが、永瀬さんによると「みやき町はとくに力を入れているのではないでしょうか。この施設は町外に暮らす方もご利用になれますよ」とのこと。施設では名前のとおり産後デイサービスのほか、赤ちゃんマッサージや産後両親学級などを実施しています。

「本当に”志”のある、あたたかいスタッフたちが集結しています」

子育てがスタートしたばかりの母親たちが向き合う不安や戸惑い。ホルモンバランスが崩れ、心は乱れがちな時期を乗り越えるには、まわりのサポートが欠かせません。「実家に帰れない、もしくは帰ることができても両親が仕事で忙しい場合もあります」と永瀬さん。こうして蓄積される疲労は身体に関係ないケースも多く、脳を休ませる必要があるそうです。そんな産後の一日を、心からリラックスして過ごしてもらうために、助産師・看護師・ストレスカウンセラー・調理師・サポーターといった方たちが活躍されています。利用者さんから寄せられたアンケートを拝見すると、日頃の子育てへの正直な心情とともに、もれなくスタッフさんへの感謝の気持ちが綴られていました。

(利用者さんの声より)

「たくさん話を聞いてもらったり、アドバイスしてもらったりして嬉しかったです」

「気になっていたことが相談できて安心しました。帰ったら子どもたちに余裕を持って優しくしてあげたいと思います」

「いつもよりぐっすり眠ることができました」

「子どもはかわいい。だけどママが休める時間も必要ですね」

「泣き声を気にせず長風呂できるだけで、こんなにしあわせを感じるんだなと思いました。夢のような時間が過ごせました」

取材時、ちょうど利用者さんがいらっしゃったようで、どこかの部屋から赤ちゃんのかわいい泣き声が聞こえてきました。赤ちゃんのいる部屋には防音工事が施され、母親には聞こえない仕組みなのだとか。ソフトとハードの両面で、細やかな配慮が見受けられます。

産前産後サポートステーションの特徴は、ストレスケアカウンセラーによるストレスケア(ホメオストレッチ)です。母親は家庭の中心。その母親を元気にすることで、家族を元気にする。「誰でも自律神経が乱れたり、脳が疲労してしまったりする。でもそれを乗り越える技術と考え方を身に付けてほしい」と永瀬さん。例えば、一生懸命やっているのに子どもに伝わらない、子どもが離れていく。そんなとき、イライラして子どもに口やかましくするのではなく、別の目標を持って人生を過ごしたほうがいい。短所ばかりに目を向けず、子どもを信じて自分もイキイキと。そのしあわせは、きっと家族もしあわせにするから・・・。

そんな永瀬さんの目標は「”しあわせ家族ストレスケア講座”を、全国のお母さんに伝えること」で、達成に向け歩みを進めています。先日はコロナ禍に負けず、オンライン無料講座『家族を守るストレスケア講座』を実施。受講者は母親たちと想定していたところ、行政や団体から職場単位での参加が見られたそうです。

そして、2021年には新施設『家庭のストレスケアステーション』が同じみやき町内にオープン予定と伺いました。

「ずっとやりたかったこと」と話す永瀬さんの思いが詰まった施設になるに違いありません。ぜひ、こちらにもご注目ください。

数年前のある日、ストレスケアカウンセラーと助産師が出会い、やがて子育て支援の町へ辿り着きました。町に産後ケアが定着し、次は家庭のストレスケアへ。

「どんな体験も意味があって、そこからどうするかです。そしてやりたいことをやる。これはお金のかかる趣味だったかもしれません。でも、やってよかったな・・・」。

(写真)左から2人目が理事長の永瀬さん。