いまりパパネットワーク(いまパパ. )は、2018年に伊万里で誕生し、県内で暮らす父親同士が育児を考え実践している、全国的にも貴重な団体です。今、各方面から大注目の活動内容を、代表の片桐さんにお話しいただきました。

「子育ては期間限定。今しか育児はできないんです」

団体の名称にもロゴデザインにも『今』への思いが込められているそうですが、片桐さんが強調されるように子どもはすぐに大きくなります。限りある時間という概念は、いまパパ.の精力的な活動にも表れていました。

「パパと子どものふれあい撮影会」「入棺体験」など、パパたちが考えたイベントはユニークかつ有意義。ママの参加もOKだけど、パパがいないとNGというルールも、パパにとって嬉しいのではないでしょうか。

また「パパと子どもだけのキャンプ」では、ママのいない時間に見せあう父と子の表情を想像しただけでクスッとしてしまいそうです。「慣れていないパパにとって、子どもと一対一で過ごす時間は大きなチャレンジ。クリアする喜びを味わってほしい」と片桐さん。確かに、パパは忙しいよりも子どもの接し方がわからない、どこか照れくさい、そんな理由でママに頼ってしまいがちなことも。でも、ひとつ乗り越えると自信になり「また次!」という気持ちが生まれます。

パパたちが中心にあるように見えるいまパパ.の活動ですが、フィロソフィーの根幹を成すのはママという存在です。

ご自身も三児の父である片桐さんは、奥様を心から大切にされています。お子さんが産まれて間もないとき、毎日泣き続けておっぱいも飲まないことがあったそう。里帰り中の入院先まで週に何度も通い、苦しみを分かち合いました。また、片桐さんだけでお子さんと過ごしたときは、「乳離れもしてなくて、ママを探して泣き止まず、結局三時間も抱っこしたままでした」とも。そうした実体験が奥様への理解を育み、後にいまパパ.として動き出していくのです。

「パパとして発信することに意味があるし、パパだからできることがあるはず」

そう話す片桐さんの表情は、明るくて、優しい。取材時、隣にいらした奥様も「わかってほしいし、知ってほしい。子どもの癖とか共有したい。ママが求めているのはそこです」と旦那様の活躍が嬉しそうでした。もともと、人を喜ばせるのが好きな片桐さんは、サプライズで奥様の涙を誘うこともあるとか。ママ友パーティーをプロデュースしたり、奥様の友人を率先してもてなしたりと、エピソードは尽きません。

家庭では思うように行動できるけれど、社会となれば時に勇気を出して立ち向かうことも必要です。片桐さんはお勤め先の会社で最初の『育休を取ったパパ』になりました。
「子どもには、パパと過ごす権利があるんです」

親が子どもと過ごすための育休でもあり、子どもが親と過ごすためでもある。物を言えない子どもに代わって親が主張しなくてはいけません。「申請時、社内には戸惑う反応もありました」と話す片桐さん。それでも、強い意志を持って挑戦することで、やがて理解へ繋がります。社外の活動も注目されるようになり、今度は会社がいまパパ.を応援してくれるようになりました。育休取得が依然として浸透しない世の中を、一人のパパから変えられると示した片桐さん。「パパが変わるとママも変わります」と話すように、なんと周辺ではお子さんを二人、三人と持つ家庭が増えているそうです。きっと少子化対策に必要なのは、行政サービスもさることながら、家族のために寄り添い立ち上がるパパたちではないでしょうか。

「パパはママを大事にしたい。原点ですね」

片桐さんから繰り返されるのは、家族を思う言葉。一番そばにいる人をちゃんと大切にしていれば、どんなことがあっても芯を見失わずにいられる。

これからの展望を尋ねると、たくさんのアイデアが返ってきました。パパの視点を取り入れたグッズ開発、イクメンならぬ育ジジなど、フレーズを聞いただけでおもしろそうな企画たち。そんないまパパ.の情熱がぎっしり詰まった活動パンフレットが完成し、取材スタッフにも笑顔で手渡してくださりました。作成費は #佐賀未来創造基金 を通じて #きょうぎん未来基金 の基金が役立てられています。

『父親の育児参加で未来の日本をつくる』

折しもイクメンランキング全国一位というニュースが駆け巡った佐賀県。外部での講演も増えている片桐さんたちいまパパ.から目が離せません。もし目を離したら「未来」を見逃してしまいそうです。