市民活動団体のサポートを行っている認定NPO法人 とす市民活動ネットワーク(鳥栖市)。

2006年の設立から活躍を続ける理事の池上さんと事務局長の木村さんにお話を伺いました。

主な事業は市民活動団体の支援であり、研修・セミナーの開催や各種相談、情報の共有と発信を実施しています。相談は立ち上げから組織運営まで幅広くアドバイスし、さらに行政や企業を含む交流やネットワークづくりによって活動をバックアップ。また、市民フェスタのように、団体が活動を発表できる場づくりを行うなど、事業内容は多岐に渡ります。地域資源である竹林を使って住民同士の交流をはかる”河内ンちくりん事業”や、ふるさと納税を活用した木育事業なども参加者から好評で、自主事業でも地域の団体を牽引する存在と言えるでしょう。

運営されている とす市民活動センター内を見渡すと、団体用の私書箱が設置され(有料)、郵便物を受け取れるサービスが行われていました。加えて、センター内のスペースは会議や打ち合わせで使えるそう。どれも専用の事務所を持たない団体にはとてもありがたい内容です。

センターのお隣には、同じとす市民活動ネットワークが運営をするまちづくりスポット鳥栖( まちスポ鳥栖)があります。こちらは大和リース(株)の支援を受け、「ヒト・コト・モノ」をつなぐ場として2016年にオープンしました。地域課題をビジネスで解決しようとする方たちをサポートしています。

「私たちの好きなまちは、私たちでつくろう」

池上さんたちが活動を始めた当時、団体を支援するこういった仕組みは無かったと言います。鳥栖市での活動があれば市外の団体でも登録ができ、地域内の団体が何らかのかたちで関係する可能性のある集積地、いわばハブ機能を担っているとす市民活動ネットワーク。「求められているのは『つなぐ』役割」と池上さんの言うように、月に一度発行する広報誌やSNSでの情報共有のほか、団体が人手不足の折にはボランティアを紹介することもあると伺いました。

――――社会人から地域人へ。

お二人は企業訪問にも力を入れています。地域の課題について伝えたり、企業からの要望に耳を傾けたりと、日頃からのコミュニケーションは関係性の構築に欠かせません。とくに災害の少ない鳥栖市周辺では、何もしなければ交わることのない人々・団体が大勢います。困ったときに助け合うためには、お互いをあらかじめ知っておくことが肝要。加えて、CSRやSDGsといった観点からも、企業と地域をつなぐことは大いに求められているのではないでしょうか。「”行政”や”企業”に分かれてしまうけど、同じ鳥栖の人じゃないですか」というお二人の言葉はとても印象的でした。

地域をつなぐ存在として長く活動されてきたお二人は、現在の課題として後継者がいないことを挙げられました。「本来なら若者を育てて、送り出して・・・となっているはずでした」と池上さん。

なるほど、地域でキャリアアップを目指す人にとって、とす市民活動ネットワークのようなところは重要になるはず。お二人は「今はNPOより個人ビジネスが盛ん」と察していながらも、それでも「気持ちのある方に来ていただければ」と、話されていました。市民活動団体、企業、スタートアップ、そして行政。すべてをつなぐとす市民活動ネットワークで働くことは大きな経験になりそうです。

そして、お二人は支援している団体の自立を願っています。誰ひとり、成長を止めてはいけません。それが自分のやりたいことであればなおさら、ステップアップしていかないと恐らくは周囲も離れていくでしょう。今回、お二人からいただいた名刺には、ボランティアコーディネーターや木育推進員(上級)など資格取得の跡がずらり。そうして自らも研鑽を続けている方たちだからこそ、言葉に深みと説得力が生まれるのではないでしょうか。

大変な思いをすることもあるかもしれないけど、応援してくれる人たちに支えられながら、自分もまた誰かを支えて、頑張って、好きなまちにしたい。そんな風に思って活動する人がたくさんいたら、その時点で既に「いい町」と言えそうです。

<追記>お二人より新年のご挨拶

「皆様、あけましておめでとうございます。2021年もよろしくお願いいたします!鳥栖にお越しの際は気軽にお立ち寄りください」