「子どもたちの未来をつくる」を基本的な理念に持ち、サッカークラブやスクールの運営などを手掛けるNPO法人ATLETICO VIVO SAGA(アトレティコヴィーボサガ。以下AVS)。理事の今村さんを訪ねて、佐賀市にある事務所へお邪魔しました。
AVSでは、小学生と中学生で分けられるクラブチーム「FINELUZ SAGA F.C(ファインルースサガ。小学生はjr)」において年代別の育成を行うほか、社会人のトップチーム「アトレティコ佐賀」が国内アマチュアリーグのJFLを目指して活動しています。また、サッカースクールを開催したりランニングチームを編成したり、サッカーを通して幅広い年代のスポーツ振興に寄与してきました。
“年代別代表”というフレーズを聞くように、サッカーは年齢に応じて所属するカテゴリが細分化されるスポーツ。子どもたちが発達する段階に合わせた育成が重視されている世界です。自身も小学校2年生からサッカーを続け、社会人チームでもプレーしていたという今村さんが、大学時代のコーチ・小宮さんと手探りでNPOを設立したのは2015年のこと。
「一緒にサッカーを盛り上げよう。子どもたちのために」
サッカーが好き、スポーツが好きな子どもたち。ストイックに技術を磨く子どももいれば、みんなで笑いながらボールを追いかけるのが好き、という向きもあるでしょう。共通している『楽しみたい気持ち』を継続して支えてやることで、子どもたちの持つ可能性は大きく広がっていく。それは地域にサステナブルな価値をもたらします。
AVSの育成は、ただ勝負に勝つことを目指すだけではありません。重きを置くのは、子どもたちがサッカーを楽しみ、続けていけること、試合に出てチームでプレーをすること。本来スポーツが持つ大切な要素です。
幼い頃から結果ばかり求められては、スポーツを好きでいられなくなる子どもも出てくるのではないでしょうか。なお、AVSはJFA(日本サッカー協会)が「Football For All~サッカーをもっとみんなのものに~」を合言葉に掲げる”JFAグラスルーツ宣言”に、佐賀県で唯一の賛同パートナーとして認定されています。そんなAVSが展開するクリエイティブな事業が『FOOT ON FIVE(フットオンファイブ)』です。
音楽に合わせ、ダンスでサッカーの技術を身に付けるというFOOT ON FIVE。なるほど、リフティングをはじめサッカーのテクニックを見ると、リズムよくボールをさばいているのが印象的です。スキルアップはもとより、ダンスだと楽しむ姿勢がわかりやすく誰でもできそうで、まさにスポーツの原点と言うべきかもしれません。それまで個人指導や保育園で教えてきたというAVSですが、2019年にはタイの障害児支援施設をボランティア訪問。現地で大歓迎を受けたそうです。言葉が通じなくても、みんな一緒に笑顔になれる・・・。「僕が一番感動しました」と話す今村さんはそれまでのボランティアへの思いが変わったと教えてくれました。
「誰かがやるものじゃなくて、自分でもできるもの。たくさんの人に笑顔を届けたい」
このタイ訪問には、 西九州大学の留学生が同行し通訳や手伝いをしてくれたほか、国際協力や国際交流事業を行う 認定npo法人地球市民の会(Terra People Association)
(佐賀市)で必要な契約書を作成するなど、地域と連携して実現させた今村さんたち。
「タイから帰ったら顔つきが変わった」とスタッフさんが話すように、海外での活動によって得られた気づきは大きかったそうです。また、メディアに取り上げられるようになり、問い合わせも増えました。今村さんは「AVSに関わりたいと言ってくれる人が多くなりました」と話し、その後も国内外からFOOT ON FIVEのオファーが続いています。
現在の課題は資金調達だというAVS。活動していくなかで県内企業のスポンサーも増えてきたそうですが、軸となる会員収入の安定化に向けて努力されています。また、ふるさと納税での支援も可能と伺いました(一番下のリンクを参照)。
取材日はミーティングの日で、4人のメンバーが集結。各年代を指導するスタッフさんたちの人柄と思いに触れる時間となりました。今村さんにこれからしたいことを尋ねると「スタジアムをつくりたいです。実は相談を進めています」と、わくわくするようなお返事が。すると、お隣で「日本のサッカー場はとてもきれいで競技場という感じ。
海外は古いけど伝統・歴史・文化を備えた夢のある場所。非日常的な空間です」と代表の小宮さん。この方たちがつくるスタジアムは、一体どんな場所になるのでしょう。きっと、サッカーを心から楽しむ子どもたちの声で包まれているに違いありません。
AVSのクラブチームでは中学生および女の子を鋭意募集中。
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