「さが平野の水辺を守る会」は佐賀県内で絶滅したとされていた植物のミズアオイが発見されたことを機に再生に取り組む市民活動団体です。今回は、移植や栽培を試みながら採種に向けた管理を続けている会長の前田綾さん(以下、前田さん)と会員の前田遥香さんに活動について話を聞きました。

◇ 絶滅危惧種を自分たちの手で蘇らせたい

ミズアオイは水田周辺に生える一年生の植物で、水中から茎を伸ばして夏から秋に薄紫色の花をつけます。除草剤や農薬に弱く、全国的に個体数が減少しており環境省は準絶滅危惧種に指定している稀少植物です。県のレッドデータブックでも2010年時点で絶滅種となっており19年、佐賀自然史研究会の事務局長が、遊水池工事現場の環境調査の際にミズアオイが自生しているのを発見したことがきっかけとなり県の絶滅危惧1類種になりました。

工事で土が掘り起こされて水たまりができたことで環境が変化し、地中で休眠していた種が発芽したとのこと。20年に自然環境の保全活動に取り組む団体が、市と協議して近くの池に移植をしましたが大雨で成長までには至らなかったことより、自分たちの手で再生をさせようと結成されたのが「さが平野の水辺を守る会」でした。「田んぼの泥で育ててみましたが、成長せず農薬に弱いことが分かったのです」と前田さんは話します。

◇ 自宅で栽培することで花を咲かせることができた

翌年、会員の前田さん親子はどうすれば自分たちの手で栽培できるのか方法を探るべく自生している熊本市の水前寺江津湖公園に学びに出向いたといいます。「熊本で栽培できているのなら、水の多い佐賀県でもできるのではないかと思いました。」と話す前田さん。

同時に当時、持ち帰った土に芽が生えていることに気づいた前田さんは自宅で栽培することを試みます。

結果、熊本で学んだ知識を参考に丁寧に栽培することで花を咲かせることができました。また、他の会員とも一緒に栽培をするため苗まで育て上げたものを渡して各々の自宅で花を咲かせる取り組みなども行いました。

また苗まで成長したものを外の環境で花を咲かせることができるように、佐賀市エコプラザにある池や白石原湿原で開花させることも。洪水などを危惧してペットボトルで作られた筏に置くことで枯れることを防ぎました。

◇ 多くの人が「自分ごと」として環境にやさしい取り組みを

現在は咲いた花から種を採取して、来年の栽培に向けた準備をしている時期。ミズアオイは農薬や大雨に弱いだけでなく、地球温暖化の影響による極度な暑い環境なども苦手な条件だといいます。

今後、多くの花を咲かせるためにはどうしたら良いのでしょうか。

1つは外の環境で花が咲いたとしても外来種であるカメに食べられてしまう危険性があるとのことです。「いくら植物の栽培法を研究しても外的環境にも着目しないといけません。」と大変さを前田さんは伝えます。罠を仕掛け、駆除ができる仕組みを行政の理解を得た上で整えたり、ゴミ拾いなどの取り組みをする必要性があるようです。

2つは育てる人によって知識レベルが偏ることなく、かかわる人が軌を一にする必要があるということです。興味関心を持ってもらえる人がまだ少なく他人事として考える人が多いそう。「大学との連携や一般の人が楽しんで考えることができるような工夫が必要だと考えています。」と今後の課題を教えてくださいました。

”ミズアオイ”が育つということは、環境が良いということ。そのメッセージをシンボルとして用いることによって、例えば田んぼで一緒に育てて無農薬な米を作って商品化するなど広く知ってもらうための挑戦を描いています。

いつか、花が一面に咲いている佐賀の風景に出会えるように、一緒に応援をしていきたいですね。

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