NPO法人poco a bocco は産前産後、年齢関係なく全ての女性の元気を応援する健康促進のための活動をしています。
代表を務めるのは、ご自身の子育てと同時に団体を立ち上げ、継続をしてきた寺野幸子さん(以下、寺野さん)。
活動を開始された背景と、今後に向けた思いを聞きました。
◇活動をはじめた理由
前職は市役所の職員で、ひとり親家庭やDV被害者のサポート、児童虐待防止などを担当していたこともあったという寺野さん。行政のできる範囲はどうしても制約が多く、対処療法的なサポートになってしまうことから、民間の立場で自由に仕事として予防的なアプローチから子育ての支援ができないかと思ったことが活動を開始した経緯でした。これまで心身両面から全ての世代の女性の健康をサポートする事業を行ってきましたが、高価格設定をしたサービスを提供するのか、寄付金や助成金で経営基盤を作っていくのか、運営を継続するにあたって悩みもありました。
◇コロナの到来、運営継続の悩み。
活動では産前産後のケアや、子育て・健康づくりのための講座があります。
「他の団体もそうですが、こういったリアルな場での支援をしている活動にとってコロナ禍でできないことが多く、妊娠中や子育て中の親が繋がれるイベントができなかったんです。」と寺野さんは話します。常駐スタッフは実質、寺野さんのみ。
このまま法人格を持って活動を続けることに悩んでいました。
◇poco a bocco だから見えてきた子育て支援の課題
丁度そんな時に他の子育て支援団体から幾つか活動内容についてアドバイスが欲しい、という声がかかりました。
「保育園の待機児童問題がクローズアップされ、どうしても行政の子育て支援は就園以降に重点が置かれがちで、妊娠期から就園前の人には中々届いていない現状があります。
また、このまま少子化が進めば、助産師等の産前産後ケアの専門家不在の市町が増え、何かあった時には他の市町に行かなくてはいけなくなります。住んでいる地域による産みやすさ、育てやすさの格差が広がりつつあることが課題です。」と話す寺野さん。
◇新プロジェクトの開始。「Big Tree(ビックツリー)プロジェクト」
そんな課題感から始めるというのがBig Tree(ビックツリー)プロジェクト。
就園すればそこに保育士や栄養士などの専門家がいるけれど、それまでには直ぐに相談できない場合に専門家がそんな各エリアを巡回して支援できるチームを創ることを目指したプロジェクトです。行政も民間も一体になって支えていく思いがそこにはあります。
「NPOなどの取り組む子育て支援が、若い世代にとって生涯をかけて取り組みたいと思える”仕事”になるといいな。」と言葉にする寺野さんの眼差しがとってもあたたかく感じました。
こどもを育てる過程で中々上手くいかないことや出産した母親とそのパートナーが心身の不調を感じた時に、直ぐに頼れることで悩む前にほっと安心できる人が少しでも増えることを願います。