あらいぐま佐賀は、水害等で被災した写真の洗浄に取り組んでいるボランティア活動団体。2019年に発生した九州北部豪雨の一か月後に活動を始めました。
以来、代表の山田萌子さんとスタッフの方々が、週末のお休みを利用して作業しています。
◇写真やアルバムを捨てないで!
浸水や土砂で傷ついた写真の姿を見たら、思わずあきらめてしまう人もいるのではないでしょうか。
あらいぐま佐賀では、写真に付着した汚れをきれいにして、持ち主のもとへ返しています。
「プリントした写真の表面は、インクをゼラチン質が覆うことで保護されています。
これをバクテリアが食べてしまうと、コーティング機能が失われてインクが溶け出してしまうんです。
これを防ぐために、まず乾かして保存。それから洗浄して、最後に消毒をします」
すぐに捨てず、一枚一枚をよく乾燥させる。
それが写真を手放さないための心得のようです。
洗浄は“修復”と異なり、剥がれたインクを蘇らせることはできません。
しかし「どがんもならんよね……」と山田さんの元を訪れる方も。
その場合は、非営利で写真の修復を行っている団体を紹介することもあるそうです。
◇残すことのお手伝い
作業は、会話をしながらリラックスしたムードで進めています。
年齢の異なるボランティア同士でも、時間を遡ったシーンの一枚一枚を前に、自然とトークを引き出されていく。
そうした「人とのつながり」は、山田さんが大切にしているテーマです。
洗浄後、きれいになった写真たち。
最近、親族を亡くしたという依頼者の方から「(せめて)写真で会えてよかった」と言われたことは、ずっと山田さんの耳に残っています。
「形にして残すこと、保存すること。完璧じゃないけど、そのお手伝いができてよかったです」
こうして、あらいぐま佐賀が洗浄した写真は、16,000枚を超えます。
◇週末あらいぐまのススメ
2018年に発生した西日本豪雨。被災地となった岡山県の真備(まび)で、山田さんは『あらいぐま岡山』の写真洗浄ボランティアに参加しました。そこで得た経験や出会いが活かされて、佐賀での設立へとつながっています。
現在の課題は、新しいボランティアさんを見つけること。思い出をあきらめず、写真が返ってくる日を心待ちにしている方たちのために、皆様もぜひ一度、参加されてみてはいかがでしょうか。
(写真)
1.サンクスメッセージ
2.コロナ禍で中断しながら作業しています
3.残せるものは残す、が基本
4.日田で実施した講習会の様子
5.ボランティア募集中!
佐賀未来創造基金では、佐賀県内での災害をはじめ、県外災害への支援活動(佐賀に拠点を置くCSO)に迅速に対応するべく、平時よりご寄付を募り、発災時に速やかに助成を行う仕組みづくりに取り組んでいます。