NPO法人SATOMORIは、「佐賀らしい自然を護り、育てる」ことを活動方針として、生物多様性にかかわる自然環境の保護や教育活動、また保全するための専門技術者の育成を行っています。
現在では80名ほどの会員から構成され、年間を通して多岐に渡る活動を行っています。団体が何を大事にして取り組んでいるのか、現在の活動の背景にある思いと今後に向けた課題を代表の田中和生さん(以下、田中さん)に聞きました。
◇人間は生物がいるから生かされている
佐賀県の事業によって白石町の有明海岸堤防沿いに平成19年度から植樹活動を始めましたが、その後育樹には定期的な手入れが必要です。
地元の地域住民のみに任せるのではなく一体となって取り組んでいくために年7回に渡った育樹・美化活動に取り組んでいます。
活動をすることによって生物の多様性を保護することにも繋がると言います。
「人間は生物がいるからこそ生かされているんです」と私たちの暮らしが生物多様性の恩恵を受けていることを多くの人に知ってほしいという思いを話す田中さん。
そのような保全活動を目指すためには地域の特性を活かした合意形成の構築が必要です。
より多くの人々に専門的な知識を持って重要性を伝え、活動に寄与していくために始めたのが「ビオトープ塾」でした。
生態学や関連する法律などを学ぶ勉強会の開催によって、その地域に住むさまざまな生き物が地域固有の自然生態系を構築することができるような環境づくりを目指します。
◇自分ごととして自然保護について考えてもらいたい
様々な取り組みを続けてきたことによって、自然保護に関する個別相談を受けることも増えてきました。
例えば昨年には佐賀市神野公園のトンボ池に生息する希少生物を保護するため水草の除去活動に。
また、佐賀市富士町では希少種のミヤマアカネの生息を保護するために富士小学校の生徒と協働して生息環境の保全活動を行いました。
他にもより多世代が自然環境について理解をすることができるよう、里山での植物観察や昆虫採集などの自然体験の場づくりも行っています。
「ただ活動に参加するのではなく、なぜこの活動が必要なのかを理解して主体的に取り組んでくれている姿を見ると嬉しいです」と田中さんは話します。
◇より多くの人に知ってもらうために、団体の課題
最近の活動では、県内の高校生や任意団体、役所の職員や議員、民間企業など幅広い所属の参加者が集まるように。
重労働を伴う活動なので最初は「来られる人はお願いします」という声かけだったといいます。
「増えてきたことは自分たちの思いが伝わっている気がして嬉しい」と笑顔を見せる田中さん。
とはいえ、まだ特定の興味関心のある人にしか伝わっていない感触も得ているそう。
より多くの人に届けるための広報活動は引き続き課題です。
また、このような自然環境の保護・保全・創出等に係るの活動をすること自体が雇用に繋がっていけることを理想としていますが現状は寄付金と助成金の資金源のみ。「社会全体がSDGsを皮切りに活動に対して必要性を感じてくれることを期待しています」と話して下さりました。
今後に向けては、一緒に活動していただいた方々の中で、自分の背中を見て取り組みを思い出してくれる人がいればと伝える田中さんの熱い思いに共感する人が少しでも増えていくことを願っています。