【採択助成事業】
佐賀災害基金
(2019年度:第2期-01,03,09)
(2020年度:第3期-03,04)
(2021年度:第1期-09、第3期-03)
(2023年度:07)
被災地支援チーム「OKBASE(オカベース)」は、西九州大学神埼キャンパスの学生や卒業生、教員で構成される被災地支援の団体です。活動が開始されてから、5年が経ちました。
約3年前には、令和元年佐賀豪雨による水害の活動内容について、お話を聞きにいきました。少し時間が経った今回、再び研究室を訪ね、2023年の取り組みについて、学生リーダー・副代表である大学3年生の溝口素世さん(以下、溝口さん)と、大学1年生の多田さん、竹ヶ原さんに伺いました。
◇目の前の「寄り添い」が誰かの支えになっている
令和元年の佐賀水害の時から、県内だけではなく県外にも足を運んで被災地支援での活動を行っています。具体的にはどういったことをしているのでしょうか。
今年度は、佐賀北部の山間部を中心に豪雨災害がありました。例えば、七山のエリアでは現地の社会福祉協議会や民間団体と連携をしながら、家屋周辺の浸食された穴をふさぐ土嚢を400以上作ったと言います。「最初は、何に役立つのか分からない中で作業をしていたのですが、実際に民家に入ると理解できて必要性を感じました」と1年生の竹ヶ原さんは話します。
また、県内だけでなく、福岡や宮崎など県外で被災をした地域にも出向いて家屋の清掃を行ったり、住民さんに足湯を提供しながらコミュニケーションをはかります。「足湯をしている時に本人のニーズを聞くことができるし、精神の安定にも繋がると、先輩から教えてもらって続けています。」当事者をサポートをするに当たって、距離を縮めていく必要性について溝口さんが教えてくれました。最初は遠慮をしている方であったとしても、徐々に打ち解けることで、「お願いしようかな」「ありがとう」と頼ってくれたり、感謝されるのだとか。
大学で社会福祉の分野を勉強する学生の皆さんは、やりがいを感じながら、通常授業の座学だけではなく実践の場を通して、沢山の学びにも繋がっているといいます。
◇繋がる喜びと難しさ
皆さんの原動力は学びだけではなく、住民さんや関係者との繋がりによって生まれる、喜びがあるそう。足湯をするために出向いた場所で、思いがけず、とても感謝をされた時や被災地支援の現場で長時間一緒に作業をした仲間の皆さんと距離が縮まった時など、それぞれが実感しているといいます。
1年生の多田さんは「最初は、中々足湯をしたいような雰囲気でもなく、必要ないのかな、と思ったけれど、少し時間が経つと皆さんが集まってくれて嬉しかったです」と、その時の感情を思い出しながら話してくれました。また、初対面の人と話をすることが苦手な竹ヶ原さんも「自分が変われた気がしました」と嬉しそうに伝えてくれました。
一方で、活動をしている中での悩みや葛藤もあるといいます。「ボランティアとして、どこまで関わって良いのかについても迷うことがあります。」溝口さんは、3年間ボランティアを続けているからこそ、制度や法律の枠組みには漏れがあり、狭間にいる人たちを支える必要があると気づいたそう。また、被災地の現場で様々な団体がかかわる中、どのように意見をまとめながら、その状況の最善策をとっていくのか、その難しさも実感しているようです。
◇団体としての課題とこれから
「先輩のように、色々な場所に行って関係性を作れるようになりたいです」1年生の多田さんは、このように話します。学生リーダーの溝口さんは、声を掛けられれば積極的に現場に出向いて、繋がりを広げているのだとか。
同じ被災地で活動を行っている大学生とも接点を持つことによって、自分たちの活動の参考にもしているのだそう。まだ1年生は免許を持っておらず、移動手段がない学生もいる中で、今年は助成金を活用しながら活動を実施しました。
また、メンバーが限られており、中々人が集まっていない現状についても課題感があるといいます。「ボランティアは汚れる、大変」のようなネガティブなイメージがあるのかもしれません。
今後入ってくる後輩に向けて、払拭できるような広報をしていきたいです。」と1年生は意気込みを話していました。「若い人の力って大きいと思うんです」「普通の学生生活では出逢えない経験と学びがあります」と学生の皆さんの口から出てくる言葉からは、団体に対する熱意を感じました。目の前の状況に、人に、懸命に向き合おうとしている学生のエネルギーに、賛辞を送りたい気持ちになるのは私だけでしょうか。
これからも、代々バトンが受け継がれていくことを想像すると、とても頼もしく応援をしていきたいですね。