第5回GOgoさがスポ基金-2022
「西与賀ジュニアバレーボールクラブ」は、西与賀小学校、本庄小学校のこどもたちで構成されるバレーボールクラブです。
立ち上がってからまだ1年ほどですが、ほとんど毎週集まり、練習に励んでいます。クラブが立ち上がった背景や、こどもたちの様子について代表の佐々木誠次さん(以下、佐々木さん)にお話を聞きました。
◇早くから練習できる場が欲しいというこどもたちの声
代表の佐々木さんは、城西中学校(西与賀小学校/本庄小学校の校区)の外部講師として約15年ほどバレーボールを教えていました。
発端は警察官として西与賀に駐在していたこと。
地区のこどもたちを指導する立場として中学校を出入りしていた際にバレーを教えていたのだそう。
徐々に、教えていたこどもたちの弟や妹たちの世代からのニーズがあることが分かってきたのだと言います。
「確かに、早くから練習に取り組むことによって、中学校に入ってからも継続して部活としてバレーボールを選んでもらいやすくなるのではないかと思ったんです。」結果、昨年クラブを結成し、今では3年生から6年生のこどもたちが保護者も含めて集まり、部費を取らない形で続けています。
◇敢えて作る楽しいスポーツの場づくり
練習するこどもたちの様子は、とても楽しげでほとんど大人の介入がありません。
こども同士で「どんまい」「ナイス」と言い合うような温かい雰囲気が、その場を包んでいました。
佐々木さんは、”楽しい”という気持ちを育んでもらうために敢えて厳しい指導をしない関わりをしていると、このように話します。
「中学生のスポーツは試合に向けて技を磨く勝ち負けの世界です。でも、それを小学生からやるとキツくなる。
まずは、楽しさを実感してもらって、その先に上達を目指すかどうかは、こどもたちが自ら決めて求めていくものです。」
確かに、佐々木さんは技に関しては何も言わず、こどもたちには「次はどうしますか?」「組み合わせはどうしたら良いですか?」と自分たちで考えて決めさせるようにしています。クラブが始まった当初は、こども同士で揉めていたこともあったようですが、今では高学年を中心に率先してまとまるようになってきたそう。
こどもたちの成長を感じていると佐々木さんは笑顔を浮かべていました。
◇地域でこどもたちの主体性を守っていきたい
高学年の中には楽しいだけに止まらず、早く中学に行って技を上達させたいと意気込んでいるこどももいるのだとか。
夏を過ぎた頃は、次の学年に進級することを意識し始めるこどもたちの過渡期です。
そんなこどもたちが練習する環境を良いものにするために、助成金を活用して普段使うボールやケース、ネットに設置するアンテナを準備しました。
こういった環境を整えていくことが、今後も安心してこどもたちが練習することや、新しいこどもたちを迎えるために必要なのだそう。
特に、新しいこどもたちをどのように呼びかけていくのか、周知については悩んでいると佐々木さんは話します。
佐々木さんの構想は、地域で地域のこどもたちを見ていくこと。
これまで学校が中心になっていた機能が地域に移行していく昨今の状況を踏まえて、西与賀の地域ではバレーボールを通してこどもたちが多世代とコミュニケーションできる環境を作っていきたいと、意気込みを伝えてくださいました。
地域のおとなの皆さんが自分たちにできることを活かしてこどもの主体性を守ってくれている気がして、温かい気持ちになりました。