【採択助成事業】
第5回GOgoさがスポ基金-2022
「佐賀県フェンシング協会」は、佐賀県におけるフェンシング競技者の育成を通して競技の普及に取り組む団体です。
設立から20年ほどが経ち、その間オリンピックでの日本人選手の活躍によってメディアにフェンシングの競技が取り上げられることも増えています。
佐賀ではどういった状況なのでしょうか。具体的な活動について、ジュニアチームの監督を務める藤田大貴さん(以下、藤田さん)に話を聞きました。
◇幼少期からの練習がアドバンテージになってきている
佐賀県フェンシング協会では長い間、高校生を対象に国体などを目指した強化練習を行っていました。
現在でも国体に向けて練習に励む高校生は30人ほどいるそう。
同時に、約10年前に小学校以上の子どもたちから構成されるジュニアを対象としたフェンシングクラブをはじめています。
その背景には、全国的にフェンシングの認知が広がり、競技人口が増加していることにあるそう。
藤田さんは、全国で通用する選手になるためには早いうちから経験を積んでいく必要があると話します。
「私は高校生から競技を始めましたが、今では幼少期から始めている選手が珍しくなくなってきました。
昔に比べると、早いうちから触れていくことが大事だと感じています。」フェンシングならではの動きを早くから体で覚えていくことがアドバンテージになっていくといいます。
◇県内で気軽にフェンシングができる場所がない
現在、小学生たちのジュニアクラブでは高学年が対象となっている全国大会に向けて日々、練習に取り組んでいます。
低学年で入った子どもが年月を重ねて上級生になり、下級生をリードするようになっていく成長ぶりを藤田さんは感じているそう。
中には全国大会や海外の大会で上位の成績に入賞する子どもも出てきているとか。
一方で、課題もあると話します。「フェンシングに必要な装具は基本的に自分たちで揃えてもらうのですが、審判をする機械など全体で用いるものについては、高校生たちが昔使っていたものを、再利用している状況なのです。
昨年は助成金を活用して、新しい機械を購入できたので本当に助かっています。自らで購入をしようとすると、かなりの費用がかかります。」
また、佐賀県ではこのクラブが唯一のフェンシングができる場所となっているため、気軽にできる場所が少ないことも課題だといいます。
「他のスポーツのように、学校の部活にないため(あるのは、佐賀商業高校のみ)保護者の送迎や学業との両立などが難しいとできません。
特に、中学生になるとこういった課題からパタリとやめてしまうケースが多いので、惜しいと感じています。」と続けて藤田さんは話します。
◇「やりたい」と思った時に「できる」場所でありたい
現在まで、思いのある経験者によって支えられてきたというフェンシング協会。
子どもたちの育成をしているのは過去にフェンシングの競技を経験してきた大人の皆さんです。
しかし、そういった指導者も限られているのが現状なのだとか。
「普段は別の仕事をしていますし、急用など何かあった時でもほかの指導者でカバーできる体制づくりができたらと感じています。」と藤田さんは率直な思いを話してくださいました。
今後、クラブの卒業生がまた佐賀で指導をする立場になってくれるように、戻ってきやすい環境を整えていくことも見据えて動きを進めます。
子どもたちが「やりたい」と興味や夢を持った時に、できる環境を作ろうとまさに土壌を耕しています。
この場所で花を咲かせた人が、いつか同じ場所に還元していく。
そんな未来を描きながら、私も一緒に応援をしたいと思います。