CSO持続支援金-3期
さがっこ基金-第3回
きょうぎん未来基金-第10期
「おかえりや」は、小城市内の公民館や施設でこどもたちが自由に宿題をしたり、おやつを作って食べることができる居場所として2015年から活動を始めました。(現在は休止)
当時、始めた時の背景やこどもたちとかかわる中で感じられていたことを代表の赤松貴子さん(以下、赤松さん)に聞きました。
◇こどもにとって、もっと近くに頼れる大人がいたら
代表の赤松さんは、東日本大震災をきっかけに実家である小城市に戻ってきたUターン移住者の一人。
4人のこどもと戻ってきた時には知り合いが少なく、心細い思いをしていたといいます。
しかし、当時、県立高校の図書室で働きはじめ、そこに集まってくるこどもたちと接する中で、赤松さんの心境に変化がありました。
「先生が厳しかったのか、集まってくるこどもが多かったんです。中には、家庭に困りを抱えていたり、お弁当がなくてお腹を空かせていたりするこどももいました。その時、こどもたちにとって、もっと近くに頼れる大人がいたら楽だろうな、と感じじたんです。」
当時の状況を振り返り、地域のこどもたちに向き合うきっかけを話す赤松さん。
その後、ご自身のこどもへの向き合い方も重ねて、学びの必要性を感じ、佐賀女子短期大学へ。
卒業までの過程に、県内でこどもの居場所を実践する方と繋がり、ご自身の活動の構想へと広がっていきました。
◇こどもたちにとっての在り方を模索し続けた
小城市の公民館を開放し、放課後に誰でも来られる居場所づくりをスタートしました。
ご自身のお子さんが、友だちを誘って来てくれていたのだとか。
お子さんが発達障害と診断された時、障害の有無で分けられない生き心地がいい地域を作りたくて、まずは小さくやってみようと始めたのだそう。
「寄り道をしてくれて。それぞれの後ろ姿がとても印象的でした。楽しみにしてくれている子もいて、嬉しかったです。」
学校から事情があって早く帰ってくるこどもがいたとしても、対等に関わり続けることを意識していたといいます。
助成金を活用して、長期休みには学習会をしたり、ハロウィーンやクリスマスには季節のイベントに重ねた催しをしたりと、こどもたちが喜ぶことを企画していたのだとか。
一方、居場所を開き続ける中で、中々こどもたちが集まってこないことも。
そんな時には自身の在り方が不安になることもありました。
”こどもたちの近くに居ようとしていれば、そのままで大丈夫” そう声かけしてくれる方の励ましがあって、続けることができていたと当時の悩みについても話をしていただきました。
◇地域で頼れる大人が増えていってほしい
現在は、地域の居場所に代わり、小城市議会議員の立場を通して住民の思いを届けている赤松さん。
市民としてこどもの居場所をはじめてみた結果、活動をしている中で見えてきたこどもたちの現状をしっかり伝えていかないといけないと感じたことが理由でした。
引き続き、こどもたちにとって何かあったときに「ねぇねぇ聞いて」と気軽に声をかけられる存在が近くにいる地域を市民と行政をつなぐ立場として、つくっていきたいと考えているといいます。
佐賀県内にも各所で居場所づくりの取り組みが広がっている今、同じ志をもつ方にこのようなメッセージを送ってくれました。
「こどもたちには、困った時に頼れる存在があれば必要だと思っています。でも、時にはちょうど良い距離感をとることも大事です。だから一生懸命になりすぎず、気がつけばコミュニティが作られているような関わり方で良いのではないでしょうか。」
同じ町に住む1人として、目の前のこどもたちに向ける眼差しを変えることが、居場所を広げていくための最も大事な一歩のような気がします。