第5回GOgoさがスポ基金-2022
Popcandy新体操クラブは、佐賀県で活動をしている幼児から中学生までで構成される新体操クラブです。今年は初めて全日本規模のクラブ連盟に登録し、全日本新体操クラブ団体選手権の大会に向けて練習に励んでいます。
今回はこどもたちの指導を行っている代表の牟田樹代表、(以下、牟田さん)にこれまでの取り組みと今後の意気込みについて伺いました。
◇沢山の経験がチームのスキル力になる
新体操の競技について、一般的に学校で行われているスポーツに比べると中々馴染みがないかもしれません。
話を聞くと、全国的にも試合の数が少なく、人口規模の多い関東でも独自で大会を開催するほどだといいます。
だからこそ、実際に試合の緊張感を味わったり、他のチームの競技を見たりすることが、こどもたちにとって成長の大きなきっかけになります。
「県外遠征し、全国レベルでどこまで自分たちが通用するのかを確認する機会が必要なんです。」と代表の牟田さんは話します。
昨年は助成を受けたことがきっかけで、初めて地方遠征が叶い、チーム全体のスキルが向上したんだとか。
毎年参加している全日本ジュニア大会予選では過去最高の成績を残すことができました。(個人:昨年総合39位→今年総合20位 / 団体 昨年12位→今年5位)
さらに、指導者も遠征に行き、新体操に必要不可欠な審判の勉強を積み重ねたことによって、今年度の新体操審判試験に合格し、日本で一番高いランクのカテゴリーに認定されました。
◇”お金がないとできない競技”にはしたくない
今年度は初めて全日本規模のクラブ連盟に登録し、9月に東京で行われる全日本新体操クラブ団体選手権への出場が決まっています。
これまでは、「勝てたら勝ちたい」「九州の他県に負けたくない」のような目標を掲げていたこどもたちが「全国大会に行きたい」と大きな夢を持つようになったと、牟田さんは変化を感じているといいます。
自ら目標を持って日々の練習に励んでいるこどもたち。
一方で、遠征に行くためには飛行機を使う場合、一人10万円以上の費用が必要となり、試合出場の提案をすることが難しい現状です。
コロナの感染拡大や物価の高騰に伴って家計に影響が出ている中、”お金がないとできない競技”にはしたくないと牟田さんは強く感じています。
チーム力が高まってきているからこそ、今後もどのように資金を調達していくのかが課題です。
◇自分がどうなりたいのかを発信できる人になって欲しい
様々な経験と場数を通して、強いチームになっていくことはもちろんですが、牟田さんが願っていることは、こどもたちが自分らしく主体的に生きていける人になっていくことだといいます。
「新体操という競技だけに限ったことでは無いのかもしれないですが、大人に許可や正解を求めるようなこどもが増えている印象です。そうではなくて、自分がどうなりたいのかを発信できる人になって欲しいなと感じています。」と牟田さんは強く思いを伝えてくれました。
競技を通して、自分や相手への姿勢が何よりもこどもたちにとっての大きな財産となっていくことを感じます。
「誰かが」ではなく「自分が」と自らを主語にして生きることができるこどもたちを育んでいきたい。そんな思いを感じました。自分たち自身で未来を自由に描けるこどもたちが増えていくよう、私も応援したいです。