【採択助成事業】
「佐賀災害基金」2021年度-第1期

日本カーシェアリング協会は、寄付で集めた車を用いて、「支え合いの仕組み」を作る非営利団体です。

東日本大震災の発生時に開始されたことから本部は宮城県石巻市にありますが、令和元年の豪雨水害時に支援を受けたことがきっかけとなり、令和2年には九州支部が佐賀県武雄市に設立されました。

今回は、設立に至るまでの経緯と設立後の令和3年に起こった水害時の様子を本部事務局長の西條里美さん(以下、西條さん)と九州支部の江口康成さん(以下、江口さん)に聞きました。

◇東日本大震災をきっかけに始まったカーシェアリング

日本中に大きな衝撃を与えた東日本大震災から10年以上が過ぎようとしています。

日本カーシェアリング協会は寄付者を活用した「支え合いの仕組み」を作るために、3つの活動をしています。

1つは車をご近所同士で共有をすることで地域づくりにつなげること。

2つ目は災害時に被災地で一定期間、無料で車の貸し出しを行うこと。

3つ目は被災で車を失った方や生活困窮状態にある方を対象に格安でリースを実施することです。

令和元年8月に佐賀県で起こった水害時には武雄市や大町町に支援が派遣され、無料で貸し出しが実施されました。

「佐賀の水害は短時間で水が引いてしまうため、ぱっと見では被害の大きさが分かりませんが、浸水面積が大きく自宅や車を失うことで困る方が多くいました。」と当時の状況を振り返る西條さん。

その後、令和2年に佐賀県がCSO(市民活動団体)を誘致する取り組みをしていたことが後押しをし、九州支部が武雄市に設立されることとなりました。

◇佐賀県に九州支部が設立され、迅速な支援ができるように

実際に九州支部が設立されたことによって、どのような変化があったのかを伺いました。

「令和2年に熊本県で水害が起こった時には、石巻から車を運ぶとしたら8日かかるところを九州支部があったことで1日で現地に運ぶことができました。」と話す江口さん。

以前は本部が石巻にあることより、西日本を中心とした現場への支援スピードに時間が必要でしたが、現在ではスムーズになったといいます。

約1年後というタイミングに再び起こった水害時には、佐賀県武雄市や福岡県久留米市を中心に103件の貸し出しが実施されました。

災害時にゴミを運搬するための軽トラックや通勤時に使用する軽自動車など用途や貸し出し期間は人それぞれですが、車の保有率が高い佐賀県では、生活にとって大きなインフラの1つ。実際に貸し出しをする時に、活動の必要性を実感したと続けて江口さんは話します。

「“3年間で2度の水害を受けて、買い換えたけどまた浸かってしまった”と皆さんの声を聞いていると、いたたまれない気持ちになりました。」

そのような困りを抱えた人に車を貸し出すための早急な準備が求められた当時、助成金を活用して寄付車のクリーニングや備品の設置を素早くすることができたことも合わせて伝えてくれました。

◇水害を経て明らかになってきた地域の課題

2度の水害を経た今、実は新たな課題が浮き彫りになってきていると感じているとか。現場で必要な人に届けている江口さんが感じられていることを聞いてみました。

「これまで見えてこなかった、生活困窮状態にある方が分かってきました。

車の車検が通せないなど、そういった方においては、自治体の自立相談支援窓口と連携して生活再建に向けた支援を引き続き行っているところです。」と深刻そうにいいます。

また、2度の被災をした方が北方を中心とした地域から離れていく現象も起こっているそう。

今後、地域が空洞化していくことや空き家が増えていくことも懸念していることの1つのようです。

最後に、今後目指していることとは何かを伺いました。

「コロナの感染拡大という社会の状況で新車の購入が鈍り、寄付全体の集まりも少なくなってきている中、佐賀県に拠点があることで迅速に支援ができる仕組みが整えられたことは大きいです。安心して暮らせる社会を作れるように、全国に活動を広げていきたいと思います。」と西條さんは話します。

佐賀県ではこれからも水害の危険性が危惧されています。”自分がいつか支えられるかもしれない”と、カーシェアリングによってお互いに支え合える関係性が広がることを願います。

「有事の時にではなく、平事の時から」と耳にしますが、それは災害に備えるだけでなく、私たちにとって何ができるのかという点でも考えることができそうです。

日本カーシェアリング協会では、災害支援から返却された車を静岡から武雄の拠点に運ぶボランティアを募集しているとか。帰省や旅行の時に、こういった取り組みに参加することも1つの協力の仕方かもしれないですね。

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令和5年7月佐賀豪雨災害対策支援基金

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