一般社団法人ここてらすは、基山町で子どもの居場所として場所を開放し、同時に親子で参加できるコンサートや体験型のイベントなどを行っています。
更に空いている時間を使って間借り営業や レンタルスペースとしての貸し出しもしており、多世代が心を休めて憩う場所となっています。
どのような経緯で子どもの居場所を開くことになったのでしょうか。
現在の活動内容や今後の課題などと併せて代表の入江航(以下、入江さん)さんに聞きました。
◇みんなでお話しできてご飯を食べられる場所が自分の居場所
「みんなでお話しできてご飯を食べられる場所にしたいね」と現在のここてらすが出来上がる前に当時の発起人を中心に企画が膨らんでいました。当時、代表の入江さんは大学生。
「コロナをきっかけに授業も全てオンラインになってしまって。
社会とのつながりを持ちたいと思っていました。」その頃の状況を話す入江さん。
ここてらすは入江さんの家から直ぐ近くのスナックを改装することになりました。
ボランティアでリノベのお手伝いをしたり、毎回来る子どもたちと出会っていくうちに、人と出逢えることが自分にとっての大きな存在になっていったといいます。
また、ひょんなことから空いている時間に出店希望のあったカレー屋にキッチンを一時貸し出すことに。
そこからコアなカレーファンが週末のランチに集うようになるなど人を通じてポジティブなバトンが徐々に渡っていく感覚を覚えていきました。
◇子どもたちが安心して過ごせる居場所「ここてらす」の法人化
2020年1月にここてらすをオープンした後1年ほど経ち、空間を通じて多くの人と繋がりが生まれる瞬間を目の当たりにしていた頃、ここてらすの法人化の話に伴い、より本気で向き合っていきたいと自分の気持ちも傾いていったそう。
また、同時期に公益財団法人日本財団の「2021年度子ども第三の居場所助成事業」を通じた助成が決定しました。当時を振り返り「採択されたことで、自分がここてらすで感じていた価値の答え合わせをしてもらった気がしました」と嬉しそうに入江さんは話します。
◇悩んだ広報活動、自分を通じて子どもの居場所を知ってほしい
ここてらす、という場所の運営は順調に進んでいましたが、発起人ではなかった入江さんは不安でもあったといいます。
名刺を作って自己紹介をしても、この場所を自分事にできている感覚になるまで時間がかかったそう。
当初の発起人を経由して機会を提供してもらうのではなく、自分を知ってもらうことで応援してもらえるように、様々な場所へ足を運んだといいます。
その結果、今では入江さんを通じて子どもの居場所を知ってくれる人が増えてきました。
日本財団の助成期間は3年間で、残り1年と少しとなった今、どのような課題を持っているのでしょうか。
◇居場所づくりを仕事に、子どもの居場所が身近なものになりますように
ボランティアを含めると15人ほどが居場所に関わっていますが、より場所を活発にするべく、運営継続や拡大のための収益事業や企業からの寄付導線を考えています。
「今はなんでもチャレンジしてみる時期。自分のように子どもの居場所を作ってみたい、仕事にしてみたいと思える人が増えると良いなと思っています。」と話す入江さん。
「もちろん場所運営のためには資金獲得は必須ですが、しっかり場所に集う”子どもたち”を見ていきたいです。
ここに来て、関わっている人に是非会って色々なキッカケから子どもの居場所を知ってもらえると嬉しいなと思います。」と力強く伝える入江さんのメッセージからは多くの人の顔が浮かんでくるようでぐっと心に響きました。
子どもの居場所という概念自体が多くの人に広まっていき、沢山の人たちの手で作られていくと良いなと思います。