NPO法人KARATSUは月に2回ほど「こども食堂かがみ」を運営し、親子を中心とした地域の人々の賑わいづくりをしている他、ヨガやベビーマッサージなどのイベントを通した親子の居場所づくりや、不要になった高校生の制服を回収して必要な人に届ける活動など多岐にわたる活動に取り組んでいます。
コロナの影響で人の繋がりが希薄化する中、どのような思いで実施しているのでしょうか。代表の生駒明子さん(以下、生駒さん)に近年の取り組みと併せて伺いました。
◇子ども食堂の場を人が集まって賑わう場に
コロナの到来前は会食形式で賑わっていたこども食堂。SNSを通じて地域にその取り組みが知られるようになり、当時は子どもたちだけで来る安心した場所になっていたといいます。
そこで、コロナの感染拡大に伴いこれまでの運営形式で開催することが難しい状況でもお弁当配布に切り替えて続けることにしました。
「”野菜食べないとね” ”お代わりする?”などの些細な会話が少なくなってしまったのは事実です。
それでも、お弁当の配布を続けることによって、子どもたちが来続けてきてくれるのは嬉しいです。」と話す生駒さん。
ボランティアの方々や高校生も集い、楽しい場所になっているようです。
また、こども食堂の日だけではなく他の日にも保護者が安心して来られる場所にしたいとベビーマッサージやヨガができるイベントも企画しました。
◇高校生たちとのアイディアをカタチにして社会のニーズと繋げる
コロナは高校生の活動にも影響していました。
以前は、老人ホームや介護施設に赴きボランティアをしていた学生の活動ができなくなってしまい、ゴミ拾い等のみにその範囲は留まっていたそう。
そんな頃、生駒さんが偶然高校生たちと話していた時に「学校の教材が結構高い。
自分たちが着ている制服も(高いが)使わなくなったらもったいない。」と声があがりました。
そこで、高校生を中心に不要になった制服を集める”制服バンク”の活動が開始されることに。
チラシやSNSの発信も全て高校生が行います。
「高校生が何かしたい、というアイディアを持っていたら何も言わずに応援するようにしています。
失敗しても、対処法が学びになるはず。その学びを活かしてさらに前に進んでほしいと思っています。」と、学生の成長を見守る生駒さん。
当時、部室がなかった彼ら彼女らのために場所の提供も行いました。
常に周囲の状況を捉えて自分にできることを模索し、実行する生駒さん。
こども食堂を運営する中で、多くの団体が食材を集めることに苦労する実態を知り、余った食材や寄付された物品を一時的に保管しておく「フードバンク唐津」を令和4年3月から本格始動しました。
◇地域でそれぞれが支え合える関係をつくるには周囲の理解が必要
フードバンクは現在16団体ほどが登録をしており、一般の方からの個人寄付もありますが直ぐに配り切ってしまう状況だといいます。
「今は私が積極的に寄付をお願いしたり管理をしている状態ですが、3年後には地域で皆んなが一緒に育てるように関わってくれたらと考えています。」と生駒さんは強い眼差しで伝えます。地域の人が誰かに依存する関係ではなく、それぞれが支え合う関係であれること。
そのためには、活動を知ってもらい共感の輪が広がるように現在の活動の周知に励まれるようです。
目の前の人や社会に対して、少し遠くから見守りながらも常に先頭に立って模索し続ける生駒さんからはどこか優しさの奥に勇ましい強さを感じました。