“ふるさとを遊ぼう”をテーマに活動する ノビトワークス(鳥栖市)は、自然体験やスポーツ、遊休地の活用を通して、子どもも大人もみんな一緒に「遊び」を実践しています。
わくわくするコトを次々に生み出している、代表の原田さんにお話を伺いました。
今年3月、新型コロナウイルス感染症の影響で休校措置の相次ぐ中、ノビトワークスは佐賀未来創造基金から助成を受け『日帰り山ごもりCAMP』を開催。突然の休校となってしまった子どもたちと山に入り、ハイキングや木工体験、椎茸の菌打ちなどをして過ごしました。
遊びに見えるようで、子どもたちにとってはそのすべてが学びです。コミュニケーション、山の歩き方、道具の扱い方、動植物との出会い。小屋で学校の勉強をする時間もあったそうです。全力で遊びきった子どもたちは、帰り道に歩きながらウトウトしてしまう子もいたとか。「保護者の方からも感謝されました」と話す原田さん。
とにかく遊びまわって楽しむこと。ノビトワークスの取り組みには「無理やり」や「強制」が存在しません。
「うまくなるか分からないサッカー教室やってます。プロ?言語道断です(笑)」
ご自身もサッカー少年だったという原田さん。「幼い頃からプロを意識してやるのはとても素晴らしいこと。でも、そうじゃない子が楽しめなくなるシーンも多い」と、子どもが純粋にスポーツを楽しむことだけを目指して始めたのが”楽しいだけのサッカー教室”です。
ここでは、ルールや勝ち負けをうるさく言わず、子どもたちが楽しい時間を過ごすことを大切にしています。そのため、サッカー教室だけど鬼ごっこをすることも。ユニフォームはなく、送迎や手伝いなど親の負担もありません。
「体育が嫌いだった女の子が『ここなら楽しい!』って言ってくれました」
本当はスポーツが好きなのに、無理やりさせられたり、人からいやなことを言われたりして、だんだん嫌いになってしまう。厳しさや辛さを学ぶことは大切ですが、楽しみたい気持ちを叶えてくれる場所も必要ではないでしょうか。
他にも、申込開始から15分で定員に達した”森のようちえん”や、森を開拓して遊ぶ” THE WOODYS KIYAMA(ザ・ウッディーズ・キヤマ)”など、大人も子どもも楽しめる仕掛けを続けるノビトワークス。原田さんにとって「遊び」って何ですか?
「遊びは、好きなことをやることです」
仕事が好きならそれも遊び。生活や生き方まで含めて、私たちはちゃんと遊べているのかな?という疑問が、原田さんたちノビトワークスの原点になっています。ご自身も2児のパパ。自然の家やキャンプの仕事に就いていた頃「よその子どもたちとは遊んでいるのに、自分の子どもと遊べていない!」と感じ、そこから意識が変わっていきました。
何気ない私たちの日常会話で「遊び」というフレーズはよく出てくるものです。その意味する行動は幅広く、友人と出かけることや趣味に興じること、外食など使われ方はさまざま。「好きなことをやること」と解釈するのが、一番当てはまるかもしれません。
けれども「遊び」は、暮らしのなかで決して必須ではない付加価値のように捉えられがち。原田さんはこれからの課題として集客と仲間づくりを挙げています。
「僕と一緒にやる人をつくっていきたい。”ノビト” は『野』と『人』で仕事をつくることなんです」
子どもたちから”はらどん”と呼ばれている原田さん。取材を終えた別れ際、車のトランクルームを開けて、モルックやフレスコボールなどのスポーツ用具を嬉しそうに見せてくれました。季節は肌寒くなりましたが、しばらくは半袖・半パン・キャップ姿の大きな少年の姿が見られそうです。
風邪引かないでね、はらどん!