神埼市でコミュニティづくりをする 寺子屋かんざきは、2015年から子ども食堂をスタート。

手づくり料理と楽しい企画が地域の子どもたちに受け入れられています。代表の山本さんを訪ねるため、神埼市背振・高取山公園にあるレストラン「そよ風」にお邪魔しました。

「シェフじゃなくて、主婦です(笑)」

現在、公園の施設内でレストランを運営しながら、寺子屋かんざきの活動を続けている山本さん。

お店で提供するのは、手づくりの定食や地元で捕れた猪肉を使ったカレーなど、家庭料理の数々です。

「毎日味が変わります」という山本さんの『母親がつくるごはん』は、お店のお客さんにも、子ども食堂の子どもたちにも人気の様子。

ご自身も4人の子どもを育てられ、今は娘さんや甥っ子も一緒にお店に立つことがあるそう。そんな家族経営のレストランと神埼市の中心部の2か所で月に1度ずつ、子ども食堂は実施されています。

山本さんが「ずっとやりたかった」と子ども食堂を始めたのは、今から6年前。当時はまだ『子ども食堂』という名前すらも、一般の方にはよく知られていなかった頃でした。先駆けとも呼べる活動のきっかけは、親が仕事のために、孤食化している地域の子どもたちの存在にあったそうです。「お小遣い500円を渡された子どもが、コンビニでお弁当を買っていたんです。この子たちに手づくりのものを食べさせてあげたいって思いました」と山本さん。

各地の子ども食堂の中には、食事を無料で提供しているところも多く見られる中、寺子屋かんざきは有料です。

山本さんは「続けていくためです。タダだから行く、というのは違うし、ずっと無料でやっていると逆に気を遣って来れなくなる人もいます」と理由を教えてくれました。なるほど、からかわれたり、良くない目でみられたり、確かに無料で行きづらくなってしまうことは大いにあるかもしれません。

山本さんの子ども食堂で特徴的なのが「子育て応援チケット」。

購入したチケットの金額(一枚200円)は、子どもたちが子ども食堂を利用したときに割り引かれ、通常300円の食事が100円で食べられるというシステムです。チケットに子どもたちへ向けたメッセージを書き込み、使用時には子どもたちからの返信メッセージが追記されます。顔も名前も知らない子どもとコミュニケーションが取れる素晴らしいアイデア。

展示中の使用済チケットボードには「たくさん食べてね」と「ありがとう、ごちそうさまでした」があふれていました。チケットはレストラン「そよ風」で販売しています。

「僕が癒されるのは、子ども食堂だけじゃん!」

以前、大学生のインタビューに応じていた山本さんの脇で、子ども食堂に来ていた小学生の男の子が放った言葉。それは、とても純粋な答えでした。

長く活動している寺子屋かんざきの子ども食堂には、嬉しいことがたくさん。

「最初の時から来てくれてた子が、高校受験受かりました!って知らせてくれて」と話す山本さんは満面の笑みです。その子が知らせを届けたときも、この笑顔か今以上の笑顔だったに違いありません。

また、誰かわからない方が軒先に食材を置いていってくれることも多い、と教えてくれました。そんなとき山本さんは「一切、無駄にしない」と誓うそうです。

毎週日曜日、レストラン「そよ風」はドッグカフェに変身します。山本さんのおうちにいる3匹が”出勤”して、お客さんにふれあいのサービスを提供。

幼少の頃から「野良犬を保護したい」と考えていた山本さんが「子どもと犬にやさしい店」と話すとおり、思いがうまく融合した空間を実現しています。

「子どもたちが自分の子どもを連れて来てくれるまで、続けたい」

そんな山本さんに待っていてもらえる子どもたちがうらやましく思う、取材スタッフでした。