一般社団法人おもやい(武雄市)は昨年の豪雨災害をきっかけに誕生しました。

代表を務める鈴木隆太さんは現役の住職。NGO職員の経歴を持ち、県内外に幅広いネットワークを持つ頼もしいリーダーから、支援を感謝するメッセージが届いています。

「皆様、ご支援ありがとうございます。皆様あっての私たちの活動です!」

おもやいの活動は、災害からの物理的な復旧だけではありません。”くらしの再建・地域の復興”を目標に掲げ、その活動内容は人々の住居や食事、健康、雇用や法律のサポートまで多岐にわたります。「おもやい」の名前は『一緒に、共有』を意味する言葉。

災害は、見えなかった地域の課題を浮き彫りにしました。例えば、高齢者の方がどんな風に暮らしと向き合っているか。誰にも頼らずに家屋の補修をしたり、できない方は自分の家の2階にずっと上がれないままでいたり、いつも一人だったり。「ボランティアをどう受け入れたらいいか分からず戸惑う方も・・・」と鈴木さん。

確かに、生活の深い位置まで誰かを受け入れるのは、時として憚られるものと理解できます。それでも、繰り返し訪問してコミュニケーションをとることで、徐々に頼みごとをしてくれるそうです。

話を伺った取材スタッフは「すごい、まるで行政みたい」と驚きました。実際、おもやいと武雄市は月に一度の会議を重ね、連携しながら活動しています。

「災害時、早い段階で佐賀未来創造基金が来てくださり、その時その時の課題に必要な課題に対してタイムリーに、助成金などを通じてご支援いただきました。私たちがお手伝いした方々から御礼の言葉もたくさんいただいています」そう続けて、鈴木さんが笑顔で見せてくれたお便りには、気持ちのこもった感謝の言葉が沢山ありました。

「不足はどこにでもある。大事なのは、自分たちがどう動くか、何ができるか」

この判断力と行動力が、町を救い、人を救っています。今年、令和2年7月豪雨によって佐賀県内でも被害が発生しましたが、災害救助法の対象外だった地域のために、クラウドファンディングで支援金を募ると、その行動は行政を動かすことへ繋がっていきました。

「復興は、安心して住めること。『ここにいてよかった』と、いろんな人と一緒に思えること」

日々、おもやいにはご近所の方が遊びに来ます。職員さんとお話をしに来る方、つくった作物を持ってくる方。災害後の地域には、新たなコミュニティが形成されていました。そこに見えるのは決して仕事の付き合いではない、人と人の自然な関係性です。おもやいで会える顔が増えれば増えるほど、地域の人たちはお互いが安心して、共に暮らしていけるでしょう。

今後について尋ねると「自分たちは万能ではないし、やれることはごく一部。今なお孤立している人はいるはず。そういった方々を巻き込んでいきたい。皆さんの職能やスキルを教えてください!つなぎます!」と前向きで力強いメッセージをいただきました。確かに、得意とする部分と、困りごとを地域内で共有できれば、うまく循環していきそうです。

おもやいでは、農業ボランティアや森林整備などで、地域の外から若い人に来てもらう仕掛けを計画していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、いずれの活動も困難に。私たちの生活が大きく変化するなか、持続可能な地域づくりのためには、多様性を備えたコミュニティが求められるのかもしれません。今の状態を「点が線になりつつある」と表現する鈴木さん。面になる日は、着実に近づいている気配がしました。

「気軽に立ち寄ってください。(旧北方幼稚園なので)園庭で遊べます。ぜひイベントも来てください。たくさんの人に活動を知ってほしいです。これからもよろしくお願いいたします!」