20年以上の間、唐津市鏡で子どもたちの成長を見守り続けている、かがみこどもプラザ実行委員会。2019年から子ども食堂を開始し、新たな居場所づくりを実践されています。活動拠点の古代の森公民館を訪ね、会長の宮崎さんにお話を伺いました。

「子供は地域の宝です!地域の子供は地域で育てていこう!」

茶道やダンス、競技カルタといった教室、工作や読み聞かせなど、子どもの居場所づくりに取り組んできた、かがみこどもプラザ実行委員会。代表を務める宮崎さんは、設立当初からのメンバーです。「元教員の方が多く、活動には『学び』の要素を入れています」と教えてくださる活動内容は、とても幅広いものでした。その一つである卓球教室は、体操着に着替え、卓球台とラケットを用意したあと、まずはみんなで勉強をするそうです。それも卓球台にノートを広げて、終わったら卓球がスタートするという、なんてユニークで模範的な時間でしょう。

こうした学びの要素は、2019年に始まった子ども食堂でも取り入れられています。ただ食べるだけではなく、お箸の使い方や『いただきます』の意味を子どもたちに教えているそう。「”衣食足りて礼節を知る”といった言葉や食に対する感謝の気持ち、添加物の話も。食育ですね」と宮崎さん。

食材をいただいた先を告げることは、子ども食堂を実施する団体によって、考え方が異なる部分ですが、かがみこどもプラザ実行委員会では隠さず伝えることにしています。それは、子どもたちに感謝の気持ちを持ってほしいから。“施しを受ける”と聞けばネガティブですが、してもらったことに対して、素直に感謝を抱くのはとても前向きなことです。「今度は災害食について話しますよ」と宮崎さんが教えてくれました。

子ども食堂について、以前から宮崎さんは実施したいと思っていたところ、周辺から「朝ごはんを食べない子どもがいる」と聞き、またコロナの影響で経済的に苦しむ家庭の存在を知って、立ち上げを決意しました。

宮崎さんは「右も左もわからなかった」ところからスタートし、地元企業や個人から支援を受けられるようになり、同じ唐津市内や伊万里市の子ども食堂とはネットワークを構築。余った食材を融通しあうようになりました。

現在、毎月第3土曜日の昼のほかに「みんなで朝ごはんを食べて、元気に登校しよう」と銘打った朝ごはん企画”かがみ子ども食堂 あさごパン”を、月に一度開催しています。

「朝早くから、校長先生が手伝ってくれます」

校区となる鏡山小学校は、1,000人近い児童が通うマンモス校で、「準備する食事は185食」と宮崎さんは教えてくれました。実行委員会のメンバーとともに校長先生や教頭先生も加勢くださり、子どもたちが一日を元気に過ごすための食事をつくっています。

子どもたちにとって生活の中心となる学校。その先生たちの理解と協力が、宮崎さんの活動を大いに助けていました。

居場所づくりの教室や子ども食堂には、どんな子どもがやってくるのでしょうか。「自分を高めようという子や、友達に誘われてくる子、親に勧められる子。いろいろです」と宮崎さん。以前、居場所づくりをしている公民館に毎日通ってくれる兄弟がいたそうです。

その子どもたちはいつも同じ服を着てやってきて、公民館が閉まるまでずっとそこにいて帰りませんでした。服を買ってもらえないのか、洗濯をしてもらえないのか、周囲がにおいに気づいてしまう、そんな子どもたちでした。「気付いていたけど、突っ込みきれませんでした」と悔しそうに話す宮崎さん。後に、この子どもたちの母親をニュースで目にすることになったと明かしてくれましたが、どんなに胸の痛む思いをされたことでしょう。

―――長引くコロナの中、スタートさせた“子ども宅食”

2020年10月、かがみこどもプラザ実行委員会は子ども宅食事業を始めました。月に二度、生活が窮乏する家庭へ食料品や日用品を届けるなか、支援先の家庭からは「ゴミ袋一枚でも助かります」という感謝とともに、「死のうと思っていました」と逼迫した声も聞かれるなど、継続的な支援が求められています。

今後について尋ねると「まずは早くコロナが明けてくれることを」と答えてくれた宮崎さんの明るい笑顔。

そして、運営費や人材確保など課題はあるけれど「今いる実行委員会のメンバーたちがうまくクリアしてくれています」と話してくださいました。

聞けば、ここ鏡地区は唐津市の中でも地域の団結力が強いのだそう。期間の決められた活動助成金が「たとえなくなっても、なんとかします」と力強く語る宮崎さんの思いには、これからも多くの方が共鳴し手を携えていくものと感じました。